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牧野健治

得意な家具 テーブル・イス カタログ(制作実績)
主な素材 ナラ・タモの無垢材
用途対象 業務用(一部個人向けも可)

受賞経験もある絵描きとしての一面を持つが、

家具づくりは、ナラの無垢材にこだわりあくまでも実用を重視する。

父親の背中を見て、ひとつひとつ技術を学んでいった。

 私の父は腕の立つ職人でした。建具職人として年季明けした後、当初は江戸指物を、やがて簞笥や衣裄(いこう)などを作るようになったようです。
 当然のように私も父の仕事を手伝うようになりました。しかし、父親からは何一つ教えられませんでした。文字通り、技術は盗んだ。そういう時代だったし、今思うと、その気になって学んだものでないと本当の意味で身に付かないんですね。

木の家具は人が育てるもの

 木には冬目と夏目があります。冬に育った目はかたく、夏の目はやわらかい。風化していくと冬目が残り、夏目はけずられ、凹凸が生まれてきます。それも木の家具の味ではないでしょうか。
 木の家具は、使う人が育てていくもの。キズがついても、内側からまた木が顔を出してくる。上手に使えば、何十年、何百年と持つものだし、使う人の性格が出てくる。
 以前テーブルを頼まれて作ったことのあるお客さんから、「天板にキズがついたので表面を削ってほしい」と相談を受けたことがあります。見ると子供たちがつけたのでしょう、あちこちにキズがある。削るのは簡単ですよ。でも、そのキズはもう二度とつけようと思ってつけることができない、子供たちの成長の印です。「本当に削ってしまっていいのですか?」と問い直したところ、思い直されたようです。請け負えば、うちは仕事になるから良かったのだけど(笑)。

適材適所でナラを使う

 私が使っている材料はほとんどがナラです。ナラは家具に向いていますが、材木にはその品質で等級があるんです。等級の高いものは見た目もいいし、当然、値段が張ります。
 実は私は、あえて等級の低いものを使っています。
 もともと等級が低いものではないですよ。等級の高いもののなかに、見た目が悪いものや曲がったものが低い等級になっている場合があるんです。そうした材料は、たとえば、テーブルの天板には向かなくても、脚に使える。曲がった野菜と同じです。材料として見かけが悪くても、質そのものはいい。そんな工夫することで、結果的に、価格を随分と抑えることができるんです。
 木を見る目にそれなりに自信がないとできないことですが。

頑丈で長持ちする家具を作りたい

 基本的には手作業で家具づくりをしていますが、「手づくり」とうたってはいません。実際、機械も使うし、クギも打つ。そうしたものは、上手に利用すれば十分力を発揮しますから。何しろ効率があがるので、価格がおさられる。価格は特に重視しています。使ってもらって初めて価値が出るものですから。
 その一方で、量産品は量産品で、需要があるわけですから、それはそれでいい。ただ、例えば、一般に天板には「やとい」といって、接ぎ合わせ面となる両木端にと溝(実溝さねみぞ)を切り、溝にあわせて別に実(さね)を作って挟んで接合しています。普通のは、実(さね)が外部から見えないようにするため、端まで溝を切らず中に収めてしまいます。見栄えを優先して売るためです。が、その分、弱くなる。私は、丈夫さを重視し、また、効率を考え、あえて小口から見えるようにしています。それも味と思っていただけるといいですね。

 先日、知り合いから「 おいしいから」とすすめられ、ある中華料理店に行きました。そこは、自分がイスを納めた店だったんですね。納品したイスがまだ使われていた。かれこれ20年になるんじゃないでしょうか。こちらとしてもうれしいし、この先何年もつのか目下検証中といったところですね(笑)。

牧野さんの画家として作品(受賞作品)