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かっぱ橋発 食器・道具の一口コラム

調理道具・食器のメッカ、合羽橋で働く日々。
当たり前に毎日いろいろな食器・道具・カタログに触れてますが、
まだまだ奥が深いのが、この世界のようです。。。

そこで調理道具・食器の「なぜ?」「なに?」を思いつくままに
取り上げ、時にアツく、時にゆる~く、皆様にご紹介していきます。
お買いものの参考になる、かも。



その3  そもそもテフロンって何ですか?
「あれだよ、あの、くっつかないフライパンのことよ。ティファールのフライパンとかのあれだろ。
え、ティファールは違うの?」

テフロン加工といえば、やっぱりフライパンですよね。
焦げ付かない、油がいらない、洗うのもラクチン。いいことづくめですね、全く。
でも、そもそもテフロン加工ってなんなんでしょう?

テフロンとは、代表的なフッ素樹脂の1つ、ポリテトラフルオロエチレンという、
何度読んでも覚えられない名前の樹脂を、アメリカのデュポン社が製品化したものです。

そもそもフッ素樹脂というのは、第二次世界大戦中の原爆開発過程でアメリカで偶然生まれた
ものだとか。それが、今やどの家庭のキッチンにも行き渡って、お料理を楽にしてくれているのだから、
世の中わからないもんですね。

そんなフッ素樹脂加工の世界のブランドといえるのが、「テフロン」加工なのであります。

じゃあ、テフロンでなきゃ駄目なのか。そんなこと言ったら、コーラはコカコーラしか飲めません。
自分はむしろペプシ派です。

テフロンのデュポン社以外にもフッ素樹脂加工を行う会社は多々あります。
フッ素樹脂加工品は、テフロン加工品と同等の意味だと思ってもいいんじゃないかな、と。

但し、フッ素樹脂加工にもいろいろランクがあります。
もちろんテフロンにも、です。
知ってます?

テフロン加工のフライパンがほしいと思って注文したら、「シルバーストーン加工」っていうフライパンが届いても、
やられた~ニセモノつかまされた~、なんて思っちゃいけませんよ。
それ、テフロンの上級品ですわ。

ちなみに、ティファール。
あれは、テフロンではありませんが、りっぱなフッ素樹脂加工品です。
ラインナップによっては、6層コーティングなんてのもあります。
もちろん悪いモンじゃあございません。
かなりいい”ペプシ”ですから、ご安心を。



その2  タジン鍋の蓋の穴は何のため?
3年ほど前から爆発的に大流行したものといえば、なんでしょう?

突然現われ、わらわらと流行し、あちこちのメーカーにも広がり、
国内のあちこちから生み出され、中国からも入ってきた、不思議な形のアレ。
マスコミにも取り上げられ、一部ではパニック(?)のような状況も見受けられたアレ。
こうしてみると、新型のウイルスのようにも見えますが、
今回は「タジン鍋」を取り上げてみます。

タジン鍋とは、北アフリカ、特にモロッコの料理「タジン」に使うお鍋です。
形状はとってもユニークで、平たいお皿のような鍋にとんがり帽子のような蓋が載っています。
タジン料理は、肉や野菜の水分のみを使い、そこから出る水蒸気がとんがり帽子の中で結露し、
水滴となって鍋に戻るという循環を繰り返すことで、蒸しあげる料理です。

野菜が素材のおいしさを失わずにたくさん食べられ、水分が少ないため、ビタミン・ミネラルの喪失もすくなく、
熱の通りが良いので、油の使用も控えられるとあって、現代のヘルシー路線にジャストフィット。
一時は猫も杓子もこぞって、タジン鍋新商品を作り出したものでした。

さてさて、本題です。実際に、某インターネットサイトの質問サイトにあった質問をご紹介。

「最近、流行の『タジン鍋』ですが、蓋の部分に穴が開いたものと、穴が無い物があるようです。
用途などによって違いがあるのでしょうか」

この質問、私自身も3回ほどお客様に聞かれたことがあります。

確かに「なぜ穴が?」と思いましたです、はい。

実際に国産メーカーのタジン鍋には、穴が開いているものがいくつかあります。
でも、一番人気の「エミールアンリ タジン鍋」をはじめ、海外製のものには穴はないようです。
この違いはなんでしょうか。

以前、岐阜県の産地の仕入先の方に聞いてみました。
私:「どうして穴があいてるんでしょうか」
岐:「水蒸気を適度に逃がすためですわ」
私:「でも、タジン料理って、もともとは無水調理で、素材からでる水分だけで蒸すものですよね。
逃がしちゃっていいんでしょか?」
岐:「穴開けても全部逃げてしまうわけじゃないし、十分料理できるようですよ。」
私:「そういうもんですかぁ」
岐:「それに、飲食店では本当のタジン料理ではなく、アレンジしたメニューをタジン鍋で出すという
演出的な使い方も多いようですよ」
私:「確かに」
岐:「そうなると、穴のないタジンだと、吹きこぼれたり、蒸気で蓋がカタカタいってしまったりという
ことがあったので、蓋に穴をあけた商品が出てきた、と聞いてますわ」
私:「なるほどねぇ~」

言われてみると、タジン料理を出す飲食店様は、タジン料理そのものよりも、その形のユニークさ、
インパクトに魅力を感じていらっしゃいました。
であれば、オリジナルを踏まえつつ、機能的に改良していこう、というのが日本人のものづくりですねぇ。

現在は穴の開いていないものも沢山ありますが、穴明きタジンってのも、日本らしいアイテムの一つ、
といえるのかもしれないです、はい。

ちなみに我が家のタジン鍋、穴、開いてます。


その1  18-8ステンレスってナニ?
記念すべき第一回。私が働き出して最初に思った「何?」がこれでした。
スプーンやフォークに「18-8」やら「18-10」やら「18-12」やら。
どうやら品番でもなさそうだし、棚番か?と思いきや、それもハズレ。
他にも店内商品を見てみると、「18-0」や「13-0」なんてのも見つかり、謎は深まるばかりでした。

これは何かというと、ステンレスの成分を表す表示です。
そもそもステレンレスとは、って話になりますが、ステンレスは鉄にクロムやニッケルを添加して
つくられる一種の合金です。
なんでそんなことをするかといえば、鉄をステンレスにするためです。

ステンレスのいいところは、何と言ってもみなさんご存じの「錆びない」というヤツです。
正確には、錆びにくいで、絶対錆びないわけではありませんが、鉄に比べれば非常に錆びにくいです。

鉄にクロムを一定量以上加えると、あら不思議!表面にものすごく薄い膜、不導態被膜ができ、コイツがサビを防いでくれるんです。
ちなみに、この膜、ひっかき傷などで破れても、酸素に触れる環境であればすぐに復活します。
なんて都合のいい膜なんだろう。

この膜、クロムは多いほうがいいようです。
さらにそこにニッケルが入ると、膜はさらに元気になります。

で、18-8。これは、クロムが18%、ニッケルが8%入ったステンレスという意味だったのでした。
18-10、18-12も同様であります。

じゃあ、どのステンレスもクロムとニッケルガンガン入れて、丈夫にしてまえ!といいたいところですが、
入れすぎると、成型が難しくなったり、お値段がかなり高くなったりと、そうはいかないワケです。

食器・調理道具の世界でいえば、現在、18-8は「結構いいステンレス」といえます。
調理道具では、お値段の面で21-0や18-0や13-0のステンレスも使われていますし、
ナイフ・フォークでは、18-10や18-12を18-8に変更した商品も多数あります。
でも見た目の美しさはほとんど変わらないのが正直なところです。

お店で、お家で、18-8ステンレス製の商品を見かけたら一言、
「いいステンレス使ってるな」
と、つぶやいてあげてください。
多少、不導態被膜が元気になる、かも。